チャリティ・ナビゲーターの新たなNPO評価基準

米国では、NPOレーティング・システムが発達しています。NPOに寄附しようと考える人は、まずこうしたレーティング専門のサイトでNPOのレーティングをチェックし、問題がないか確かめた上で寄附をします。このレーティング・システムの代表的な存在であるチャリティ・ナビゲーターは、2012年に620万のサイトビジットがあり、毎年100億ドル以上の寄附にインパクトを与えています。

そのチャリティ・ナビゲーターが、2013年1月に新たなレーティング基準を発表しました。CN3.0と名付けられた基準では、従来の「財政面での健全さ」と「説明責任と透明性」に加え、新たに「結果報告」が加えられることになりました。「財政面での健全さ」とは、管理費の割合が総事業費に占める割合(小さければ小さいほどよい)が中心で、「説明責任と透明性」とは、情報公開とガバナンスが中心でした。今回の「結果報告」は、言うまでもなく事業のインパクトを定量的に計測し、これをステイク・ホルダーにきちんと報告しているかどうかがチェックされることになります。チャリティ・ナビゲーターによれば、このデータを2016年までに全NPOについて収集した上で、レーティングに反映させるとのことです。

これがNPOにもたらす影響は何でしょうか。チャリティ・ナビゲーターが、当初、レーティングを始めた際には、あまりにも管理的経費の率にこだわりすぎていて、NPOを適切に評価できていないという批判がありました。その批判を受けて、「財政面での健全さ」指標に修正が加えられ、さらに、「説明責任と透明性」、そして今回の「結果報告」で、非常にバランスの取れたレーティング指標になりつつあると思われます。もちろん、指標が増えることによってNPO側の負担が増えるという問題はありますが、全体としてNPOに対する信頼性が向上し、寄附市場の拡大につながるのであれば、最終的にNPOも受け入れざるを得ないでしょう。

日本にこうしたレーティングの動きがすぐに波及することはないと思いますが、今後、政府予算が削減され、NPO間の競争が厳しくなってくれば、どこかで検討しなければならない課題だと思います。

http://www.charitynavigator.org/index.cfm?bay=content.view&cpid=1193#.Ui56ihbN9jY

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