災害支援フィランソロピーの現在

自然災害、疫病、巨大事故など、災害の際には、国際社会の支援が必要です。特に、近年は、地球温暖化に伴う風水害の深刻化、人の移動に伴う疾病のグローバル化など、災害がもたらすインパクトも巨大化しつつあります。これに対処するためには、国際機関だけでなく、企業・助成財団の支援や個人の寄付も不可欠です。

このような問題関心から、米国助成財団センターと災害新フィランソロピー・センターが、「災害支援フィランソロピーの現状評価」という報告書を取りまとめました。米国財団センターのデータに基づいて、米国の助成財団の災害支援の状況をまとめただけでなく、OECD諸国の支援や個人のオンライン寄付などの状況も把握しようという野心的な報告書です。

報告書では、やはりOECD諸国のDAC支援が136億ドルと圧倒的に大きく、これに比べて助成財団の支援は1.2億ドルと比較的小規模である現状が明らかになりました。企業寄付は、1.8億ドル、個人寄付は2700万ドルです。但し、データの補足率に差があるため、今後、財団、企業、個人の寄付金額はさらに拡大していくことでしょう。

興味深いのは、政府開発援助を利用した支援が緊急支援や復興支援に重点を置いているのに対し、財団は差異化を図るために、レジリエンス強化や災害準備などの予防的措置の強化などにより重点を置いている点です。確かに、政府の開発援助に比べて資金力に差がある助成財団が、大量の物資支援や復興支援に手を出してもインパクトが小さいため、こうした戦略的な分野で独自性を出すのは理解できます。

今回の報告書は、2013年のデータに基づいて出された初の報告です。ウェブサイト上では、インタラクティブなグラフなども用意されており、全体像が一目で分かるように工夫されています。今後、データ収集が強化され、米国以外の助成財団のデータも収集できるようになると、非常にユニークな情報プラットフォームになることが期待されます。米国助成財団センターは、これ以外にも、開発協力や様々な他の分野でのグローバル・マッピングも行っており、今後、フィランソロピー・セクターがグローバルな戦略を策定する上での重要な情報源となるでしょう。

http://disasterphilanthropy.foundationcenter.org

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