ザッカーバーグのフィランソロピー・モデル(続報)

先日お伝えしたフェイスブック創設者ザッカーバーグとその奥さんチャンさんの2人が始めるフィランソロピー活動「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ」についての議論がさらに盛り上がっているのでご報告します。

1.まずは、事実関係の確認。このイニシアチブで何が既に支援されているかについては、専用ウェブサイトが既に立ち上がっています。

https://www.facebook.com/chanzuckerberginitiative/

これを見ると、教育、コミュニティ、クリーン・エネルギー、疫病などの領域がこのイニシアチブの中心的な関心事項だと言うことが分かります。特に力を入れているのが教育で、「Personalized Learning」という新たなコンセプトを今後展開していきそうです。

2.イニシアチブに対する肯定的な評価としては

(1)伝統的なフィランソロピーでは対応できなかった新たなスタイルの支援が可能

(2)成功すれば、「我々が現在知っている形態のフィランソロピーは終わるかもしれない」

などというもの。

3.イニシアチブに対する懸念としては

(1)「フィランソロピー資本主義」の拡大は、社会政策に対する彼ら少数者の影響力を強化する恐れがある(ニューヨーカー)

(2)巨額の資金が「フィランソロピー」という名目で内国歳入庁の税金徴収の手を逃れる恐れがある(ニューヨークタイムズ)

などです。

ゲーツ財団が出来たときも、フィランソロピー・セクター内では大きな議論がありました。ゲーツは、様々な批判を受け、かなり優等生的にプログラム・オフィサー制度を整備し、評価システムの確立と透明性の向上を図り、ゲーツ財団を現在のような20世紀型の助成財団モデルに落とし込んできました。

これに対し、ザッカーバーグは、最初から財団と言う形態を放棄することで、こうした議論から距離を置いているように見えます。それが、「フィランソロピーのニューフロンティア」の成功例となるのか、それとも社会的な不信を募らせるものになるのか、当面は、具体的なプロジェクトを通じて判断していくしかないのでしょう。

https://philanthropy.com/…/A-Roundup-of-Views-on-the/234445…

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