ベンチャー・フィランソロピーの非財務支援実用ガイド

欧州ベンチャー・フィランソロピー協会が、最近出した「非財務支援を通じた価値付与のための実用ガイド」は、欧州ベンチャー・フィランソロピー協会が過去10数年間にわたり蓄積してきた非財務支援のマネージノウハウをすべて集約した画期的なもので、ぜひ広く読まれてほしいガイドです。

ベンチャー・フィランソロピーというのは、2000年代から欧米で始まった新たなフィランソロピーの活動形態です。

従来のフィランソロピーがプロジェクトに対する支援を中心としてきたのに対し、ベンチャー・フィランソロピーは、社会的企業や非営利組織の組織基盤強化やスケールアップに重点を置きます。この目的を達成するため、ベンチャー・フィランソロピーは、資金支援のみならず非財務的支援、すなわち、経営支援やコンサルティング、ネットワーク参加支援などに力を入れる点に特徴があります。日本でも、SVP東京がベンチャー・フィランソロピーの活動を行っています。

今回のガイドブックは、この非財務支援の運営手法について、基本的な考え方から具体的な支援戦略の設計、さらにその評価に至るまでを体系的にまとめたものです。ガイドブックは、ベンチャー・フィランソロピーの支援対象領域を「社会的インパクト」「財務的持続可能性」「組織のレジリエンス」の3つに区分し、これに対する非財務支援サイクルとして、以下の5つの段階を設定します。

  1. ベンチャー・フィランソロピー組織(VPO)自身が持つアセットのマッピング
  2. 支援対象となる社会目的組織(SPO)のニーズ評価
  3. 非財務支援戦略の策定
  4. 非財務支援の提供
  5. 非財務支援がもたらす価値とインパクトの評価。

ガイドブックは、それぞれの段階で必要となる作業を計画策定からコストの算定に至るまで詳細にまとめていて非常に参考になります。すでに組織基盤支援を行っている財団だけでなく、今後、新たにベンチャー・フィランソロピー活動を行おうと考えている財団や企業CSR担当者にも実用的な情報を提供してくれるはずです。

こういうガイドブック、日本語でもほしいですね。どこかの財団が翻訳してくれると良いのですが。。。。もちろん、英語版は無料で入手できます。

http://evpa.eu.com/news/latest-evpa-report-just-launched/

なお、英文のレポートを読み通すというのは大変だという方には、ツールだけをダウンロードすることも可能です。以下のサイトをご覧下さい。

http://evpa.eu.com/・・・/non-financial-support-process-tools/

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