米国の大型ベンチャー・フィランソロピー財団

米国のDraper Richards Kaplan財団が、第三期のベンチャー・フィランソロピー支援募集を開始しました。総額6500万ドル(約65億円)、米国を拠点にグローバルな活動を展開する非営利社会的企業に対し、3年間で30万ドルのグラントを出す予定です。同財団は2002年に1400万ドル、2011年に3200万ドルの資金提供を行っており、こうした実績を踏まえ、第三期は助成額を倍増させました。成果が期待されます。

同財団のユニークな点は3つあります。

1)スタートアップに特化した支援
⇒インパクト最大化のため、支援対象はスタートアップに限定します。グロース段階の団体は、どれほど実績があっても支援しません。

2)使途制約のないグラント
⇒3年間で30万ドルのグラントに、全く使途の制約はありません。問われるのは、「その資金をどう使ったか」ではなく、「その資金を使ってどのような成果を出したか」だからです。

3)強力な経営支援
⇒原則として資金提供期間中、支援団体の理事会の一員として参加し、実質的な経営支援を行います。日々の意思決定に参画すると共に、ネットワーク参加への機会提供や様々なリソースの提供を通じて成長を支援します。

同財団のアプローチは、まさに理想的なベンチャー・フィランソロピー支援だと言えるでしょう。

特に、スタートアップ支援は重要です。近年、社会的インパクト投資が拡大していますが、統計データで明らかなとおり、社会的インパクト投資の多くは、グロース段階を終了した組織のスケールアップに投じられており、スタートアップ支援はほとんどありません。その意味で、スタートアップに特化する同財団の存在は貴重です。

もちろん、スタートアップ支援には大きなリスクが伴います。アイディアは革新的でも実績のない団体は、3年間支援しても成功しない恐れがあります。このリスクを避けるため、同財団は、審査過程を重視し、厳格なデュー・ディリジェンスと複数回にわたるインタビューを行い、さらに助成決定時には明確な目標と進捗状況を測定する評価指標を設定します。こうした仕組みを通じて、同財団はリスクを最小化する訳です。

同財団の創設者は、インドをターゲットにベンチャー投資を行ってきた投資家です。これに、元ゴールドマンサックス副会長で、現在ダラス連邦準備銀行会長のロバート・カプラン氏が参加しています。成功したベンチャー投資家や金融機関のトップリーダーが、非営利の社会的企業に本格的な支援に取り組むという点も米国非営利セクターのダイナミズムを実感させられます。

http://www.drkfoundation.org

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