ソーシャル・イノベーションのための評価手法

この情報ボックスの中心的なテーマの一つは、ソーシャル・イノベーションをいかに実現するかです。米国では、ソーシャル・イノベーションを可能にするための様々な戦略計画策定や組織運営方法、あるいはグラント・メイキング手法などが提案されています。では、評価についてはどうでしょうか。

FSGが2012年に公開した「ソーシャル・イノベーションを評価する」という報告書が、この問題を考える上で重要な示唆を与えてくれています。報告書では、まず日本でもマイケル・パットンの「実用重視の事業評価入門」でおなじみの3つの評価概念:形成(Formative)評価、包括 (Summative)評価、そして開発型(Developmental)評価を提示します。形成評価は、事業の改善を主たる目的とし、包括評価は事業成果の評価を主たる目的とし、開発型評価は事業やプロジェクト、スタッフや組織の開発を支援することを主たる目的とする、というのがパットンの基本的な議論でした。

FSGは、この中の開発型評価に注目します。開発型評価は、近年、マルチステイク・ホルダー型の評価手法を洗練させてきました。このマルチ・ステイクホルダーの参加に、ソーシャル・イノベーション分野の組織論の基礎となるコレクティブ・ラーニングを組み合わせ、評価の過程において、財団スタッフやボード・メンバーも含めて、様々なステイクホルダーが共に学び、かつアイディアを出しあうプロセスを制度化することでソーシャル・イノベーションの実現が可能な組織とプログラムを作っていこうというのがFSGの議論のポイントです。

評価を巡る議論は、日本の場合、どうしてもプログラムやプロジェクトを正当化するための手段になりがちです。しかし、これを続けている限り、現在の日本社会が抱える様々な問題のソリューションを提供することは出来ません。FSGの議論は、この点で有益な示唆を与えてくれています。私も、久しぶりにパットンの本を読み返してみたくなりました。

http://www.fsg.org/tabid/191/ArticleId/708/Default.aspx?srpush=true

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