クレスゲ財団の支援を得てサステナブル・エンダウメント研究所(SEI)が、米国で新たなチャレンジを開始しました。建物のエネルギー効率向上に投資するためのリボルビング・ファンドの設立です。総額10億ドルを目指しています
対象は、米国の大学、病院等の非営利団体。チャレンジに賛同する機関は、自身のエンダウメントを使ってエネルギー効率向上専門のリボルビング・ファンドを設立します。これを学内のエネルギー効率向上プロジェクトに「投資」し、これを回収するというのが基本的な仕組みです。
SEIは、このファンドの運営や資金調達、契約書ひな形などで支援します。さらに、グリーン・リボルビング投資トラッキング・システム(GRITS)を提供し、投資のエネルギー節約効果を定量的にモニターできるようにします。
これにより、非営利団体は、今まで単なるコストでしかなかったエネルギー効率向上プロジェクトを投資として処理することが出来るようになり、財務状況が改善すると共に、エネルギー効率向上の「見える化」が可能になります。これは、参加団体のグリーン化を推進する有力なツールとなるでしょう。
この発想、ソーシャル・ファイナンスの基本である「社会的価値の可視化を通じたファイナンス」の良い例を提供していると思います。建物のグリーン化によって、将来的にいくら光熱費が削減されるかが明確になり、同時に二酸化炭素排出量の削減などの社会的価値がどれだけ生まれるかが明らかになれば、投資のモチベーションとなります。さらに、リボルビング・ファンドにすることで、継続的な取り組みも可能になります。
さすがクレスゲ財団、面白いところに目をつけました。現在は、各大学がプレッジするだけですが、例えば地域やセクター単位でリボルビング・ファンドを作り、これをメンバーに貸し付けるという形でも使えそうですね。そうすると、事務局も運用収入が定期的に入るので持続可能なビジネスモデルになりそうです。