社会的インパクト投資を受ける際に、社会的企業や非営利団体は、社会的インパクトを標準的な指標に基づいて定量的に測定し、これを公開する必要があります。これについては、SROI、GIIRS、IRIS、社会的会計など様々な指標が提案されていますが、なかなか一般の人には分かりにくいというのが現状です。GIIN(Global Impact Investment Network)が発表したGetting Started with IRISというガイドブックは、IRIS(Impact Reporting & Investment Standard)を理解する上で良くできたガイドブックです。
まず、ガイドブックは、IRISに関する良くある誤解を訂正することから始めます。IRISは、社会的インパクトを測定する指標を産業毎にまとめたカタログです。一つの絶対的な指標ではなく、それぞれの団体が、自分たちの活動に適した指標をその中から選定することが求められます。また、IRISの指標は、投資のレーティングを行うものではありません。投資レーティングは、GIIRSを使うことになります。さらに、IRISは、社会的インパクトの優劣を他団体と比較するためのものでもありません。それぞれの団体の活動は固有性があり、他団体と一律に比較することは困難です。あくまでもそれぞれの団体の固有性に基づいて、そのインパクトを客観的に評価する指標です。
このようにIRISの基本的なコンセプトを解説した上で、ガイドブックは、IRISを実際に使用するに当たっての具体的な事例や情報ソースなどを分かりやすく説明しています。日本でも、今後、非営利団体や社会的企業は、より明確に社会的インパクトを測定して公開する必要が出てくると思われます。これに備えるためにも、一度、このガイドブックに目を通して、IRISの基本概念を理解しておくと良いかもしれません。
http://iris.thegiin.org/files/iris/Getting_Started_with_IRIS.pdf