クロニクル・オブ・フィランソロピー誌が論説で、社会的インパクト投資を取り上げています。米国では、ゴールドマン・サックスやモーガン・スタンレーなどの主要な投資会社が社会的インパクト債権に取り組んでいますが、これに疑問を投げかける内容です。具体的には
1)金融業界は、一方で富裕層への増税や金融業界への増税に反対するため多額の資金を使ってアドボカシーを行っている。社会問題解決は最終的に税金に基づき、政府が取り組まなければならない部分が大きい。
2)なぜ、支援を必要とする人達への取り組みにおいて、金融業界に利益を与えなければならないのか。
3)社会的インパクト債権の目的が、「社会問題の解決」ではなく、「政府支出の削減」にすり替わっている。これでは、中長期的な問題の解決にはならないのではないか。
というものです。それぞれの論点は、確かにきちんと考えなければならないポイントだと思います。
私は、社会的インパクト債権を含めた社会的インパクト投資の役割は、ソーシャル・セクターの新たな資金調達システムとして推進すべきだと思います。しかし、もちろん、これによって、政府や、寄附・グラントの役割が否定されるわけではありません。あくまでも、非営利・公共セクターのあらたなポートフォリオとして位置づけるべきだと考えています。上記の問題提起も、単純な二者択一ではなく、こうした全体的なポートフォリオについて社会的な合意を形成していくと言うことではないかと思います。
いずれにせよ、このような問題提起は、議論を深めるためにぜひ続けていくべきだと思います。詳しくは以下のサイトをご覧下さい。