クラウド・ファンディングの代表的存在の一つ、キックスターターが、昨年、B-Corpを取得したのに続き、最近、Benefit Corporationに移行することを表明したという記事が、ニューヨークタイムズに掲載されました。キックスターターと言えば、アートやクリエイティブ産業の分野でのファンドレイジングの代表的存在。多くのテク・ベンチャーが、IPOを通じて巨額の富を得ようとする中、あえてBenefit Corporationへの道を選択したと言うことで話題を呼んでいます。
念のために、おさらいしておくと、B-Corpというのは、B-Labが設立した認証です。社会・環境面でのインパクトの追求とこれに関する利害関係者への報告義務など、一定の要件を満たしていれば、どのような法人格を持っていても、B-Corpの認証を受けることが出来ます。これに対して、Bnefit Corporationというのは、州法で定められた法人格です。キックスターターは、デラウェア州のBenefit Corporationの法人格を取得すると言うことですが、Benefit Corporationとなれば、活動により公共性が求められ、また法人設立憲章にも公共目的への貢献を記載する必要があります。さらに、取締役会の決定においても公共目的を考慮する必要があり、企業報告に社会的インパクトについての報告も義務づけられます。この意味では、一NPOでしかないB-Labの認証ラベルであるB-Corpよりもその拘束力は高いと言えます。
Benefit Corporation関連法は、現在、全米31州に導入され、さらに5州で導入が議論されています。今回のキックスターターの法人格変更により、今後、ITベンチャーでもBenefit Corporation化が進展するか、注目されます。また、日本でも、現在、コミュニティビジネスや社会的企業が、株式会社形態を取った社会貢献型ビジネスとして活動していますが、今後、Benefit Corporationのような、一定の制約を課した営利企業法人格を導入するか議論する際には、このような米国の試みが参考になると思われます。
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