中国のトップ100フィランソロピスト

資産家によるフィランソロピー活動の発展と、新興企業家の台頭とは歴史的にみて深い相関関係にあります。米国の場合は、20世紀初頭の重工業の発展がフォードやカーネギーなどのフィランソロピストを産み、20世紀末のハイテク産業の発展がゲイツやオミディヤなどのフィランソロピストを生み出しました。日本でも、20世紀初頭の大原孫三郎や20世紀後半の稲盛和夫や孫正義などの例があります。

現在、最もダイナミックに新興企業家が台頭しているのは、言うまでもなく中国やインドの新興国です。ハーバード大学アシュ民主的統治・イノベーション研究センターが発表した中国のトップ100フィランソロピストに関する調査報告は、中国の現状を知る貴重なデータを提供してくれています。

報告によると、トップ100人で、38億ドルが寄付され、これは中国のGDPの0.03%にあたるとのこと。分析の結果、(1)出身地への寄付が多い、(2)教育分野が重視され、貧困問題が続く。環境に対する関心は低い、(3)トップ100だけで、全寄付の4分の1を占める、(4)100人の内、17名は家族財団を設立して制度化を進めており、今後、専門的な財団型のフィランソロピーが発展する可能性がある、などが判明しました。

中国におけるフィランソロピー活動は、急速に進化しつつあります。現在はまだ、地縁中心、教育・貧困などの慈善中心ですが、今後、急速に専門化が進むと共に、海外向けの支援も本格化するでしょう。これは、中国の企業活動がグローバル化するに伴う不可避の現象です。グローバルなフィランソロピー活動は、一国のソフトパワーの重要な要素でもあります。中国と対抗する必要はないですが、日本においても、さらに多くのフィランソロピストが台頭し、グローバルに活動を発信していくことが望まれます。

http://chinaphilanthropy.ash.harvard.edu

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