ウェストコーストのベンチャー企業CEOは、厳しいビジネス競争を生き残るため、ストレス・コントロールと創造性発展を目的とした瞑想やヨガに励みます。その中でも、影響力を持つのがマインドフルネスという手法。これを、本格的にソーシャル・イノベーションに導入しようというプロジェクトが立ち上がっています。
プロジェクトの名前は、The Well Being Project。マインドフルネスを通じた社会的企業家の内面トレーニング支援、瞑想手法がソーシャル・チェンジに与える影響の調査、プロジェクトの成果を共有するグローバル・コミュニティの形成と普及のためのストーリーテリングなどを行っています。
このプロジェクトのユニークな点は、国際的に活動している財団やNPOが参加していること。アショカやシナゴースなどの団体が共同創設メンバーに入っており、支援団体には、フォード財団やスコール財団などが名を連ねています。まさにグローバルなプロジェクトだと言えます。
特に興味深いのは、内面トレーニングのプログラムです。アショカ、スコール、シュワッブ、シナゴースから支援を得ている社会的企業家60名に対して18ヶ月のトレーニングを行います。内容も、リトリート、個別指導、メンバー間の相互連絡など盛りだくさん。全世界に拠点があり、インパクト・ハブ・グループなども協力しています。グローバルな社会的企業家コミュニティの構築に取り組んできた主要組織が、さらに一歩進んで、より内面を重視するようになったと言うことでしょうか。
確かに、ソーシャル・イノベーションの領域に取り組むには、メンタル面でのタフさと柔軟さが求められます。通常のビジネスよりも困難なマーケットを対象にするわけですからプレッシャーは大きいですし、悲惨な状況や人々に常に直面しながら仕事をするという精神的なつらさもあります。
これをポジティブなものに変えていくために必要なものは、ビジネススキルやビジョンである以上に、瞑想を通じて育まれる思いやりや心の安定だということに、多くの人が気づき始めたのかもしれません。今後の展開が期待されます。