前回のコラムで、米国のフィランソロピー文化と産業について触れました。こういう話をすると、大体の日本人は、「それ、アメリカだけの話じゃないの?」という反応をします。でも、実は、同様の動きは、アジアでも起きているのです。
例えば、このことを考える上で、UBSウェルス・マネージメントが、グローバルに展開しているビジネス・スクールのINSEADと共同で発表した「アジアの家族フィランソロピー」という報告書が参考になります。報告書によれば、アジアでは、まだ制度的なフィランソロピー(助成財団のようにシステム化されたもの)はそれほど発展しておらず、家族財団、家族フィランソロピー、一族の企業グループのフィランソロピーが一体となっているが、若い世代は、家族フィランソロピーの活動に従事しつつも、より戦略的なフィランソロピーに軸を移しつつあり、その対象も、ローカル・コミュニティから全国レベルや国際レベルに向かいつつあるとのことです。
特に、近年、経済発展が著しい中国やインドでは、米国のノウハウを取り入れた助成財団が急速に発展しつつあり、これを支えるフィランソロピー産業もまた拡大しつつあります。もしかしたら、「アメリカだけでフィランソロピーが発展している」のではなく、「日本だけが、フィランソロピーの発展から取り残されつつある」のかもしれません。
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