ビッグ・データ時代のNPO政策:アスペン・インスティチュート報告

ビッグ・データのイノベーションの波がNPOセクターにも押し寄せつつあります。以前にこのサイトでも紹介しましたが、ビッグ・データを使うことで、NPOのマッピングから戦略策定、協働促進まで、NPOの活動に新たな可能性が開かれつつあります。

アスペン・インスティチュートの報告書「インパクトのための情報:NPOセクターのデータを解き放とう」は、こうしたビッグ・データ時代の新しいNPO政策を提案しています。内容はシンプル。現在、米国のNPOが免税ステイタスを維持するために米国歳入庁に提出しているフォーム990のデータを米国政府がデータベースの形でまとめ、一般に公開するようにしてほしいというものです。フォーム990は、米国NPOの財務状況、活動プログラム、所在地、役員などの基本情報が盛り込まれています。現在は、PDFファイルの形でしか公開されていませんが、これをデータベース化すれば、確かに様々な可能性が開けます。

例えば、政府が貧困削減プログラムを開始する際に、ターゲットとなる地域にどれだけのNPOがいてどのような活動を行っているのかが分かれば、どの地域にどれだけの予算を配分するかという戦略が即座に立てられます。あるいは、NPOにとっても、例えば、コミュニティの環境モニタリングを行っているNPOのマッピングを行い、全国ネットワークを形成することが簡単に行えるようになります。これらはほんの一例で、研究者や財団やファンドレイザーなど他のアクターにとっても無限の可能性が開かれています。

日本でも、NPOのデータベースが公開されるようになりました。しかし、財務状況や活動内容にまで踏み込み、かつこれをビッグ・データとして一般が利用できるような体制にはなっていません。社会的課題解決の担い手としてNPOセクターを育てていくためには、この報告書で提案されているようなビッグ・データ化が今後検討される必要があるでしょう。

http://www.aspeninstitute.org/sites/default/files/content/docs/pubs/psi_Information-for-Impact.pdf

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