韓国の社会的企業育成法についての話題が出たついでに、OECDの取り組みについて紹介しておきます。OECDの「起業、中小企業、地域開発」研究センターのLEED Programme(Local Economic and Employment Development)は、地域に根ざした持続可能な開発の担い手として社会的企業に着目し、先進諸国における社会的企業促進に向けた調査・政策研究に取り組んでいます。
新自由主義経済政策が目指した大企業誘致や巨大開発プロジェクトを軸とした成長政策は、地域の雇用や持続可能な開発にとって必ずしも有効ではなく、むしろ、中小企業、協同組合、非営利団体などを含めた社会的企業を育成した方が、雇用創出や地域経済の発展に寄与するという考え方が背景にあります。
LEEDが2009年に発表した報告書The Changing Boundaries of Social Enterprisesは、OECD諸国の社会的企業を巡る法整備の状況や資金調達動向、ネットワーク形成などをまとめた上で、社会的企業促進のためのガイドラインまで提案している非常に有益な報告書です。この報告書は、明石書店が「社会的企業の主流化:新しい公共の担い手として」というタイトルで翻訳も出しています。
80年代初頭にサッチャー・レーガンによって開始された大企業中心の新自由主義経済政策が、雇用なき成長と貧富の拡大による社会的コストの増大をもたらし、最終的には構造的な財政赤字と深刻な低成長をもたらしたことは、この30年間の歴史が証明しています。これを乗り越えるために検討されているのが、このような社会的企業促進政策です。日本でも、「新しい公共」委員会で議論されました。こういう政策は、超党派の議論として継続して欲しいですね。
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