フィデリティが2013年版寄付白書を発表

米国では、ドナー・アドバイズド・ファンドという形の寄附プラットフォームが発展しています。簡単に説明すれば、ある個人が、寄付口座を開設し、その口座で資金を運用した上で、自分が選んだ非営利団体に寄附できるというシステムです。サービスを運用しているのは、コミュニティ財団が中心でしたが、90年代初頭の法改正により、大手の金融機関が参加できるようになりました。日本でも、特定寄附信託制度という形で類似の制度が動き始めていますが、米国の制度は、基金の運用先や基金の寄付先の指定がより柔軟に出来る点が異なります。

このドナー・アドバイズド・ファンドを運用している米国最大手のフィデリティが2013年版の寄付白書を発表しました。これによると、現在、フィデリティは全米で57,779の口座を持ち、口座の平均残高は14,450ドル。1口座あたりの平均寄付額は3,773ドル。フィデリティだけで、77,137団体に対し約16億ドルの寄附がなされたとの数字が出ています。ドナー・アドバイズド・ファンド全体では、2007年から2011年の間に17%の増加とのことです。

ドナー・アドバイズド・ファンドがこれだけ拡大を遂げたのは、米国民の寄附文化のためだけではありません。金融サービスの一環として寄附を位置づけ、大手の金融機関が積極的にドナー・アドバイズド・ファンドのプロモーションを行い、さらに寄附者の使い勝手の良さに配慮した寄附サービスを提供したことが、大きな要因です。この結果、寄附市場が拡大し、大きなお金が非営利セクターに流れ込んだことが、米国の非営利セクターの発展に寄与しました。こういう仕組み、日本でももっと真剣に検討されるべきだと思います。

http://www.fidelitycharitable.org/docs/giving-report-2013.pdf

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