アフリカに対する支援と言えば、日本ではまだ人道支援のイメージが強いのではないでしょうか。確かに、飢饉、戦乱による難民や大量虐殺、感染症などの深刻な問題をアフリカは抱えています。しかし、一方で、近年、アフリカ・グラントメーカーズ・ネットワークが立ち上がり、また、様々な社会的インパクト投資団体がアフリカ支援に乗り出しており、アフリカのフィランソロピーの風景が変わりつつあることも認識する必要があります。
例えば、アフリカの金融家Tony Elumeluが新たに立ち上げた財団は、この問題を考える上で良い事例を提供しています。Tony Elumeluは金融ビジネスマンとして活動し、ユナイティド・バンク・オブ・アフリカを設立するなど、アフリカの金融ビジネス発展に貢献してきました。彼が設立した財団は、このような活動を踏まえ、アフリカのコミュニティ開発を社会的インパクト投資の手法を使って行っていこうという新しいタイプの組織です。事業内容は、指導者育成、政策提言、調査研究、イノベーションに対する支援という、伝統的なグラント・メイキング財団の手法と、アフリカの革新的なビジネスモデルに対する投資という社会的インパクト投資を組み合わせたものです。
彼が、クリスチャン・サイエンス・モニターに投稿した記事が、彼の思想を端的に物語っています。そこで彼が強調しているのは、「アフリカのコミュニティに対するフィランソロピー支援は、真の発展ではなく依存を再生産してきた。このサイクルを変え、真に持続可能な発展を生み出すためには、フィランソロピーではなくコミュニティの社会的企業に対する投資が必要だ。」というものです。
この議論、実は日本にも当てはまるような気がします。地域コミュニティの衰退が深刻な状況になっている中、相変わらず政府補助金の拡大のみを求めていても問題は解決しません。ビジョンを持った革新的な社会的ビジネスに投資するための資金循環システムの構築こそが求められています。その意味で、実は、日本こそ、Tony Elumelu財団の実践から学ぶ必要があるのかもしれません。
http://www.tonyelumelufoundation.org/pressrelease/africa-best-charity-aid-business
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