フィランソロピーへの疑問:バフェット・ジュニアの問題提起

ニューヨーク・タイムズの論説欄に、資産家ウォーレン・バフェットの息子ピーターが投稿しました。父親の「威光」で幾つかの財団の理事会メンバーに加わることになったピーターが、フィランソロピー業界に感じた印象を率直に綴ったもので、色々と考えさせられます(ちなみにピーターの本業は作曲家です)。

まず彼が取り上げるのは「フィランソロピー植民地主義」。なぜ、現地の事情をほとんど知らない米国の資産家が、現地の問題の「ソリューション」を提供できるのか、と疑問を投げかけます。確かに、現地の文化や社会規範や地理についての知識なしの「ソリューション」などはあり得ません。

続いて、彼は、現在のフィランソロピーは、グローバル資本主義に基づく富の偏在に対する「資金洗浄」ならぬ「良心洗浄」ではないかと辛辣に批判しています。グローバル資本主義の根本的な問題を解決しない限り、フィランソロピーはただこの不公平を温存させるだけではないかというのが彼の主張です。

さらに、彼は、近年、フィランソロピーの中で主流になりつつある「営利化」に矛先を向けます。マイクロ・ファイナンスやBOPによって低所得者層から利益を上げるのをサポートすることは、グローバル資本主義という「野獣」にさらに餌を与えるだけではないかというのが彼の論点です。

結論として、彼は、現場からのボトム・アップを基礎とする新たなシステムの導入を提案します。そして、助成財団の資金は、現在のグローバル・システムが抱える根本的な問題を解決し、社会変革をもたらすための「リスク資金」の役割を果たすべきだと締めくくっています。

なかなか重い問題提起だと思います。私は、いろいろな留保がありますが、基本的に彼の考え方には共鳴します。皆さんは、どのようにお考えでしょうか?

http://www.nytimes.com/2013/07/27/opinion/the-charitable-industrial-complex.html?_r=0

Share MeFacebooktwitterlinkedinmailby feather

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。