緊縮財政下のNPOの経営戦略:Nonprofit Finance Fund年次報告より

Nonprofit Finance Fundが「NPOセクターの状況調査2013」を発表しました。これは、バンク・オブ・アメリカ財団の支援を得て、NFFが全米のNPOに対して行ったアンケート調査に基づくもので、6000団体からの回答に基づいています。報告書の数字からは、米国で進められている緊縮財政政策の下、NPOは、財政難に苦しみながら、増大するニーズにいかに対応するか苦闘しているが伺えます。

今後3年間の発展のために適切な財源を確保できていないと回答したNPOは42%に上り、また、これから12ヶ月以内に収支の主要手段を変えることを考えていると回答したNPOは39%にのぼります。23%のNPOが、補助金や委託契約以外の財源、例えばローンや投資を探すことになるだろうと回答しています。こうした数字から伺えるのは、政府や財団の補助金だけではやっていけなくなることを見越して、サービス収入を基礎とする財源安定化のために中長期的な投資を行っていこうというNPOの戦略です。

また、政府補助金の問題も浮き彫りになりました。政府補助金でフルコストをまかなえると回答したNPOはわずか14%、政府から立替金の総額の払い戻しを受けたと回答したNPOもわずか17%で、NPOが増大するニーズに対応するために政府補助金以外の財源を求めざるを得ない状況が伺えます。また、政府補助金の支払い遅延も深刻で、地方政府の補助金受給者の60%以上、中政府の補助金受給者の50%以上のNPOが、補助金の受け取りが遅れたと報告しています。政府によるフルコスト・リカバリーと支払期限の厳守が求められます。

このような状況の中で、NPOはどのように対応しているのでしょうか。興味深いのは、プログラムやサービスの削減により対応したNPOはわずか17%しかなく、逆に49%がプログラムを拡大していることです。手法としては、39%が他団体との協働の強化を、39%が事業効率化のためのテクノロジーの更新を、36%が理事会メンバーの関与強化を挙げています。米国NPOの前向きな経営方針が伺えますね。

レポートの詳細は以下のサイトで確認できます。

http://nonprofitfinancefund.org/state-of-the-sector-surveys

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