新しい技術を活用したり、従来とは異なるアプローチを導入したりすることで、様々な社会的問題が解決に向けて大きく前進することは多々あります。このようなソーシャル・イノベーションは、社会問題の解決に大きな役割を果たします。しかし、ソーシャル・イノベーションはリスクを伴います。今までになかったアプローチであればあるほど、スタートアップ段階でじっくりと支援し、その成果がスケールアップ可能かどうかを見極める必要があります。
従来、こうしたソーシャル・イノベーションのスタートアップを支援するのは、先進的な助成財団や個人のベンチャー・フィランソロピストが中心でした。しかし、これでは資金力に限界があります。国連機関や政府開発援助機関が関与して初めてソーシャル・イノベーションは大きなインパクトを生み出します。
USAIDが2010年から開始した「DIV(Development Innovation Ventures)」は、USAIDが、スタートアップの段階からこのようなソーシャル・イノベーションを育て、スケールアップしていこうというプロジェクトです。公募制でアイディアを募り、そこから第一次審査に合格したプロジェクトをスタートアップとして支援します。次いでその中から一定の成果を生み出し、スケールアップが可能だと判断されたプロジェクトに対して、さらにキャパシティ・ビルディングのための支援が行われるという仕組みです。まさにベンチャー・フィランソロピーと社会的インパクト投資の発想ですね。
USAIDは、2010年以来、3000以上のプロポーザルを受け取り、その中から厳選した22カ国8セクターにおける60のプロジェクトに支援を行っているとのことです。内容は、とても多彩で、バクテリアを使って空中の窒素を地中に固定し有機肥料として活用するというプロジェクトから、マイクロ太陽光発電ランプを協同組合を通じて購入するプロジェクト、MITが開発した有機肥料とバイオガスの生産が可能な屋外トイレットの導入プロジェクトまで、本当にクリエイティブなプロジェクトが並んでいます。
日本のODAも、こうしたベンチャー分野に活用すれば、日本国内のベンチャー企業の育成にもつながりますし、うまくいけばBOP市場の開拓にもなります。JICAやJBICにぜひ検討して欲しいですね。
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