英国のシンクタンク「ソーシャル・マーケット財団」が7月末に発表したレポート「リスキーなビジネス:社会的インパクト債券と公共サービス」は、期待が先行しがちの社会的インパクト債券のリスクを冷静に分析し、その上で、さらに社会的インパクト債券が発展していくためには何が必要かを論じていて役に立ちます。レポートによれば、現在の社会的インパクト債券のシステムには以下のようなリスクがあります。
- 真に持続可能な形での成果を得るためには、現在よりも大規模なプロジェクトで成果が証明される必要がある。しかし、それは投資家により大きなリスクをもたらすことになる。
- 成果に影響を与える諸条件についての情報が不足しており、またコントロールも出来ない状況では、投資家が投資成果を適切に判断できない。
- マーケットがまだ小さく未発達のため、資本コストも取引コストも高くなる。
- 社会的インパクト債券が想定している大規模な投資を受け入れることの出来る非営利団体は少数である。
では、このようなリスクを前提にして社会的インパクト債券を発展させるためには何が必要でしょうか。単純に考えれば、こうしたリスクは公共的なものですから、政府や助成財団がこのリスクを負うべくさらに投資を増やすというのが簡単な解決法になります。彼らがリスク部分を引き受けることで、民間投資家が資金をより出しやすくなります。
レポートは、社会的インパクト債券が、公共サービスにおける革新を推進する重要なツールであることを再確認した上で、以上の問題を解決するための様々な提言を行っています。ご関心のある方はぜひ以下のサイトをご覧下さい。