米国フィランソロピーの規制強化を巡る議論

米国は、NPOセクターもフィランソロピーセクターも世界最大規模を誇っていますが、この発展の陰には常にこうしたチャリティセクターに対する規制強化や批判がつきまとってきました。近年も、クリントン財団に対する外国企業からの寄附や寄付金の不正流用などが起きており、また規制強化を巡る議論が始まっています。

ニューヨークタイムズに寄稿された論説「誰がチャリティを監視するのか」も、この一つ。近年のチャリティの諸問題を取り上げつつ、免税ステイタスを持っている以上、チャリティはより透明性と説明責任を果たすべきだという議論を展開し、以下の4つの改革を提案しています。

1)寄附者に関する情報開示の強化。特に、公共政策に関わるものについては義務化。
2)原則非課税という制度の撤廃。独立機関の評価に基づいて成果を測定し、これに応じてチャリティ団体の免税レベルを決定する形に変更。
3)助成財団については、支出義務を強化し、基本財産の拡大を規制。現行の5%ルールを10%ルールに引き上げ。
4)フィランソロピー資金が有効に使われたかどうかについてのより明確で客観的な評価の導入。

この上で、現在、内国歳入庁が担っているチャリティのチェック機能を強化するため、英国のチャリティ委員会のような独立機関を設立し、より強力にチャリティ団体の監視を行うよう提言しています。

この議論、米国に固有の要因もありますし、またこの意見がどこまで広く米国内に受けいられるか分かりませんが、少なくとも一つ言えることは、チャリティ団体が社会的信頼を得ていくためには、常に活動の透明性を確保し、自分たちが行っている事業の成果を客観的な指標を通じて評価し、その結果に対する説明責任を果たすことが重要だと言うことでしょうか。

いずれにせよ、英国のチャリティ委員会の権限強化の議論に足並みをそろえるように、米国でもこのような議論が出てきたことは注意しておく必要があるかと思います。

http://www.nytimes.com/2015/05/31/opinion/sunday/who-will-watch-the-charities.html?smid=fb-share

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