米国で、フィランソロピーを歴史的に分析し、そこから現在のフィランソロピーを再検討しようというブログが立ち上がりました。名付けて、HistPhil。米国史研究者たちによるブログです。
カーネギー財団、ロックフェラー財団、フォード財団など、20世紀初頭のアメリカに誕生した助成財団は、その専門性、戦略性、実証主義など、様々な面でそれ以前のチャリティとは一線を画す社会的発明だったと思います。それが20世紀の米国と世界に果たした役割は非常に大きいと思いますし、それは今でも進化を遂げています。ある意味で、これは人類史的な発明だと言えるかと思いますし、また市場主義が世界を覆い尽くそうとした時代のカウンタームーブメントの役割を果たしたという意味も見いだせるかと思います。個人的にもこの歴史には興味がありますし、それはまた、21世紀型のフィランソロピー(それは、より参加型になり、テクノロジー志向で、さらに成果・インパクト志向を強めています)を考える際にも様々な洞察を与えてくれます。
さらに言えば、実は、20世紀初頭の日本も、フィランソロピー大国だったのです。大原美術館、松方コレクションなどのアート作品や様々な財団、研究機関がフィランソロピーを通じて設立されました。100年後の今でも私たちはその恩恵を享受しています。その意味で、日本のフィランソロピーも世界のフィランソロピー発展史において、重要な役割を果たしています。
そもそもフィランソロピーという概念自体が日本ではなかなか普及しない上に、その歴史を研究するというのは、なかなか難しいと思いますが、日本でもこういう分野に取り組む研究が出てきてほしいですね。