新たなソーシャルセクターの担い手として注目を集める社会的企業ですが、やはり彼らの活動の成否の鍵を握るのは、社会的インパクト測定。日本では、SROIが有名ですが、海外を見渡せば、社会的インパクト測定手法は様々なものが開発されています。
OECDとEUが最近発表した社会的インパクト測定に関する政策ブリーフィングは、こうした議論をうまく整理していて、今後の方向性を考える示唆に富んでいます。ブリーフィングは、以下の3つの類型を析出して、それぞれのメリット・デメリットを比較分析しています。
■公的機関
→公的資金をより効率的に分配するという観点から、費用便益分析(Cost Benefit Analysis)が有効
■民間投資家
→投資リターンを知るという観点から、レーティングが有効
■コミュニティ
→社会的企業の活動による受益者の満足度を知るという観点から、SAA(Social Accounting and Auditing)が有効
そもそも社会的企業には、NPOがビジネスの手法を導入したものから、ハイブリッド型のもの、あるいは障害者の雇用を通じた包摂を目指す労働統合型社会的企業など、様々な形態があります。目的も手法も受益者も異なる社会的企業の活動インパクトを一律の基準で評価することなどそもそも不可能です。どのような活動にどのような評価手法を適用するのか、という観点から問題提起をした今回のレポートは、今後の議論に重要な影響を与えそうです。レポートは以下のサイトから入手可能です。