UCバークレーのHAASビジネススクールのカリフォルニア・マネージメント・レビュー誌がハイブリッド型法人と社会的企業の特集号を出しました。編集主幹のNardia Haigh教授のインタビューがウェブサイトに掲載されていておもしろかったのでご紹介しておきます。
ハイブリッド型法人とは、営利と非営利の双方のメリットを持つ新たな法人格です。米国では、低収益有限責任会社(L3C)や社会的利益会社(Benefit Corporation)などが有名ですが、これ以外にもFlexible Purpose CorporationやBenefit LLCなどもあります。それぞれに特徴があるのですが、共通点としては、社会・環境目的に貢献するための一定の制限を加えつつも、営利活動に従事できるように設計されている点。ビジネスのダイナミズムを非営利に導入することが主眼となっています。
インタビューでおもしろかったのは、ハイブリッドを導入する際の考え方。まずは、ハイブリッドの柔軟な法的構造をきちんと理解すること。そして、その法人格に応じた戦略を練ること。当然のように、それは非営利の戦略ともビジネスの戦略とも異なるユニークなものになるはずです。そして、最後に、ハイブリッドがもたらすメリットとデメリットに留意すること。ハイブリッドももちろん万能ではありません。非営利と異なり、寄附の免税はありませんし、ビジネスとは異なる制約もあります。また、ミッション漂流など、当初想定していなかった問題も当然生まれてきます。
私は、最後のポイントに共感を持ちました。今まで、ともするとハイブリッドが理想の解決法だという言い方が支配的だったのですが、やはりハイブリッドにも否定的な面があることは認めた上で、自分たちのミッションに応じて、ハイブリッドを一つの選択肢として捉えようという視点がここにはあります。ハイブリッドを巡る議論も成熟してきたようですね。