ビッグデータによるソーシャルイノベーションが世界中で進行中です。消費者行動から、寄附、あるいあ災害や紛争時の情報共有に至るまで、生活のあらゆる分野でデータ革命が進められています。しかし、その多くは、巨額の予算と権限を持つ政府と少数の企業がコントロールしています。このような社会の変化の中で、市民社会はどのように対応すべきでしょうか。
国際NGOのオープン・ナレッジが出した最新のディスカッション・ペーパー「データ革命を民主化する」は、この点について、今後、グローバルな市民社会が目指す方向を指し示していて注目されます。ペーパーは、まず政府が情報を公開するオープン・ガバメントの重要性を再確認します。政府が持っている情報を、政府だけが独占するのではなく、これを一般に利用できるように公開することで、新たな産業が生まれるだけでなく、市民社会でも新たな活動が可能になります。それは、この情報ボックスでも何度も取り上げてきた協働のプラットフォームや様々なテクノロジーのツールでも明らかでしょう。
ペーパーは、さらにこれに加えて、政府の既存のデータ基盤の変革と拡張のために積極的にアドボカシー活動を行うよう呼びかけています。たとえば、現在進行しているデータジャーナリズムは、EU各国が発表しているデータをまとめることで、2000年以来、29,000名もの人間が、欧州に不法移民しようとして亡くなったことを明らかにしました。EUが今まで明らかにしてこなかった数字が、個別のデータをまとめることで明らかになったのです。本来であれば、EUがやるべき統計データを市民団体がまとめた訳ですが、このことを通じて、データジャーナリズムは、EUに対し、このようなデータを集計し公開するよう促すわけです。こうした既存データの拡張を主張することで、市民社会がより積極的に、データの民主化に関与しようというのが、今回のペーパーの趣旨です。
ペーパーでは、このようなデータ民主化への取組手法として、政府に以下のような取組を促しています。
*アドバイザリー・パネルとユーザーグループの設置
*データ管理専門スタッフの設置
*ユーザー関与のための対話チャンネルの設置
*データ要求メカニズムの設置
*コンサルテーション・プロセスの制度か
*データ基準に関するコメントの募集
このデータ民主化の動き、今後のグローバル市民社会の一つの大きな焦点になると思われます。日本も例外ではありません。日本政府はただでさえ情報公開が遅れています。これをビッグデータの時代にあわせて透明性を向上させるために、日本の市民社会の努力が求められます。
https://assets.okfn.org/…/r…/DemocratisingDataRevolution.pdf