NPO人材育成のための高等教育カリキュラム

日本でもNPO法が施行されてもうすぐ20年になります。日本のNPOもいわば「成人」に達しようとしています。この間、NPOの数も拡大し、市場も拡大しました。また経営も高度化しています。これに伴って、当然、NPOを担う人材育成も高度化する必要があります。

しかし、残念ながら、現在の日本には、NPOに関する専門課程は大学院はおろか学部レベルでもありません。市民社会を支える核となるNPOの世界で、専門的な人材を育成するメカニズムがないというのは、国際的に見ると非常に特異な現象のように思われます。

個人的に、米国の大学院でNPO指導者育成のための修士課程を履修した経験からも、こうした専門的なトレーニングの必要性を痛感します。NPOが本当に社会の変革を担い、行政や企業との協働を進めていくためには、専門知識が不可欠です。NPO=草の根ボランティアという時代は過ぎ去ってしまったと思います。

このことを考える上で、興味深いガイドラインが、米国の非営利アカデミック・センター協議会から発表されました。このガイドラインは、非営利リーダー、非営利セクター、そしてフィランソロピー分野における大学院&学部レベルの研究のカリキュラム・ガイドラインです。ガイドラインでは、比較研究から始まって、法務、財務、経営、公共政策、リーダーシップ、ガバナンス、倫理、人材開発、説明責任、マーケティングとコミュニケーション、データマネジメント、意思決定システム・・・と専門課程で学ぶべきカリキュラムが並べられていて、大変参考になります。

日本の大学関係者やNPO研究者は、ぜひこのカリキュラムガイドラインを踏まえて、日本におけるNPO専門課程のカリキュラム開発に乗り出してほしいですね。実務家の方もNPOスタッフに求められる専門知識を知る上で必見の資料だと思います。

http://nonprofit-academic-centers-council.org

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