企業の社会貢献戦略も発展しつつあります。従来型のリスク・コントロールを中心としたCSRから、より本業に即したバリュー・チェーン創出型のCSVへという動きが本格化しつつあります。また、これに応える形で、非営利セクターと企業の協働も進化しています。
欧州ベンチャー・フィランソロピー協会が5月に発表した報告書「企業の社会的インパクト戦略ー協働型成長のための新たな方策」は、このような状況を踏まえて、企業の社会的インパクト戦略の望ましいあり方を事例と共にまとめていて興味深いです。
報告書は、このような新たな時代における社会的インパクト戦略を「戦略的に社会的リターンを生み出しつつ、持続可能な価値創造モデルを構築するための投資志向アプローチ」と定義します。その上で、具体的な戦略として、「包摂的ビジネス・モデル」「企業インパクトベンチャー」「企業財団との戦略的連携」の3つを取り上げつつ、具体的な事例を分析していきます。ここでは、まさに企業が自らのリソースと活用し、また企業経営を軸としながら社会的インパクトを達成することが出来るモデルが描かれています。
さらに、報告書は、このような企業の新たなモデルの発展において、ベンチャー・フィランソロピー組織の役割が重要だと指摘します。それは、まさに投資志向を強めた企業と、実際に事業を行っているソーシャル・ベンチャーの橋渡しを行い、リスクとコストを引き下げると共に、共同投資家としてソーシャル・ベンチャーを積極的に支援していく役割です。
日本企業もCSVや社会的投資に関心を向けつつあります。この発展を考える上で、報告書は様々な示唆を与えてくれそうです。
http://evpa.eu.com/publication/corporate-social-impact-strategies/