Social Enterprise UKがState of Social Enterprise Survey 2015を発表しました。英国では、政府も中小企業調査の一環として社会的企業の調査を行っていますが、Social Enterprise UKの調査は社会的企業に焦点を絞っており、英国の現状を知る上では貴重な情報です。
調査結果でまず目につくのは、社会的企業の法人格。伝統的な非営利団体の形態であるCLG, CLSがそれぞれ45%、16%と半数以上を占めており、まだ社会的企業は非営利団体が中心だと言うことが分かります。一方で、日本でも注目を集めているコミュニティ利益会社の割合が20%となっており、徐々に社会的に認知されてきていることが伺えます。
調査対象のうち、約半数が設立5年以内。しかし、50%がすでに収益を出しており、26%は損益分岐点に達しているとのこと。このセクターが、近年、急速に成長していることが伺えます。社会的企業の収入の75%は寄附ではなく事業収入。しかも、何らかの形で公共セクターと取引をしていると回答した社会的企業が59%、また主要収入源が公的セクターとの取引であると回答したのが27%と、やはり収入源の中心は公的セクターからのものであるという現状が浮かび上がりました。同時に、公平な賃金体系や障害者の積極的雇用、女性やマイノリティなどの多様性への配慮という点で、中小企業とは異なる独自性を打ち出している点も興味深い点です。
こうした分析結果に基づき、Social Enterprise UKは、政府の様々な中小企業支援政策に対する社会的企業のアクセス拡大、より社会的企業のニーズや地域に即した支援の拡大、社会的企業向けにより小規模でシンプルな社会的投資商品・サービスの開発、社会的価値法の活用など、10の改善策を提言しています。
今後の日本における社会的企業支援策にも参考になると思われますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。