ニューヨーク市がホームレス支援に30億ドル!

クロニクル・オブ・フィランソロピー誌が、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を紹介しています。これによると、ニューヨーク市は、ホームレス支援のために、補助金と免税を組み合わせる形で今後18ヶ月にわたり非営利組織と不動産開発業者に30億ドルの支援を行うとのこと。

事業の内訳は、新たに7,500件のアパートをホームレス用のシェルターに改築するというもの。これにより、現在のシェルターが倍増し、現在、58,000人の利用者数も増加する見込みとのことです。シェルターを利用するホームレスは、家賃やケア・サービスを受けるための費用として収入の30%を支払います。

ホームレス支援において、まず住居を確保することが重要であることは、日米を問わず明確です。住居があれば、生活が安定し、健康リスクが減少し、就職活動などの道も開けてきます。失業や住宅ローンの破綻などでホームレス化した人々は働く能力があるため、こうしたサポートがあれば社会復帰への道は開かれます。また、精神障害や薬物中毒など何らかの問題を抱えた人々にとっても、住居とケアを組み合わせることで、より早期の社会復帰が可能となります。

こうした「社会的包摂」の強化は、コストの増加ではなく未来への投資です。なぜなら、支援を通じてホームレスが社会復帰すれば、社会保障コストが減少し、逆に彼らの収入の一部が税収として社会に還元されるからです。従来、この問題がコストのみで語られてきたのは、こうした事業の社会的インパクトを貨幣換算するシステムがなかっただけの話です。採算度外視の箱物を作るよりも、よほど社会的価値は高いにもかかわらず、です。

付け加えれば、今回の取り組みのユニークな点は、不動産開発業者という営利企業には減税で、非営利組織には補助金で、それぞれ支援することで、営利と非営利の双方の強みを活かしている点です。価値の劣化した不動産に新たな価値を加えることで、実は経済開発にもつながります。ニューヨークの場合、たとえば、コモン・グランドの取り組みのように、不動産事業とホームレス支援を組み合わせた事業の蓄積があることも見逃せない点です。

「空き家」問題が声高に議論されている日本。グローバル資本主義の中心とも言えるニューヨークでのこの試みを参考に、日本でもぜひこうした取り組みが進展してほしいですね。

https://philanthropy.com/…/NYC-to-Put-3-Billion-Int…/234246…

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