スケールアップは、ソーシャル・セクターにとって重要な課題です。従来、スケールアップは、組織レベルでの事業拡大が中心に議論されてきました。しかし、それは、所詮、組織の拡大にしかつながらず、セクター全体に波及しないのでは?という疑問があります。そこで、近年、新たに登場した概念が、「変革的スケール(Transformative Scale)」です。まさに、世界を「変革(transform)」するようなスケールアップを目指そうというコンセプトです。
このコンセプトを推進している団体の一つ、民間非営利シンクタンクのブリッジ・スパンは、「変革的スケール」プロジェクトを立ち上げ、専用のリソースセンターも設立して、この考え方の普及に努めています。彼らが、提唱している「変革的スケール」のための手法は、セクター全体のスケールアップを実現する以下のような取り組みです。
■既存のプラットフォームを活用した普及
■他組織の取り込みとトレーニング提供
■インパクト実現を目指すスケール戦略
■テクノロジーを使ったレバレッジ確保
■セクターの強化
■公的システムの変革
■政策変化への影響力行使
■営利モデルの導入検討
■態度・行動・規範の変更
これらのそれぞれについて、ブリッジ・スパンは様々な論考やレポート、ツールの開発などを行ってきました。しかし、その過程で、「変革的スケール」を実現する上で、様々な障害があることも明らかになってきました。このため、昨年3月からブリッジ・スパンはハーバード大学ビジネス・スクールのチームと組んで、「変革的インパクト・コラボラティブ」を立ち上げ、現実の障害を洗い出し、この障害を乗り越えるためにはどうすればよいかという検討を行っています。
この結果、リーダーシップ、コスト、協働、資金調達、実施などの面での問題点が明らかになりつつあります。コラボラティブは、今年1年間かけて、この障害をさらに精査すると共に、これを乗り越えるための方策を検討していくとのこと。最近のブリッジ・スパンのブログ記事は、こうした一連の取り組みを紹介した上で、セクターを超えてこの試みに参加するよう呼びかけています。インパクトから「変革的スケール」へ。ソーシャル・セクターを巡る刺激的な挑戦の試みがさらに加速していきそうです。
http://www.bridgespan.org/…/The-Next-Chapter-for-Transforma…