日本でも注目を集めている社会的インパクト債(SIB)。これに対抗する形で、米国サード・セクター・キャピタル・パートナーズが、社会的インパクト保証(SIG: Social Impact Guarantee)という新たなコンセプトを発表しました。彼らは、現在、パイロット事業を進めており、うまくいけば2016年中に事業を立ち上げる予定とのことです。
言うまでもありませんが、SIBは、(1)民間投資機関がまず資金を提供してプロジェクトを実施し、(2)プロジェクトが一定の成果を「挙げれば」、(3)政府が民間投資機関に元本+リターンを提供するというメカニズムです。
これに対し、SIGモデルは、(1)まず政府が資金を提供し、(2)プロジェクトが一定の成果を「挙げなければ」、(3)民間投資機関が政府に資金を提供するというメカニズムのようです。
なぜこのようなことが可能になるかというと、SIGモデルでは、事業の実施団体が、民間投資機関に保険料の形で資金の積み立てを行うからです。仮に事業が失敗した際には、民間投資機関が保険の払い戻しのような形で実施団体に資金を提供し、民間実施団体はこの資金を使って政府に資金を返還するというわけです。
サード・セクター・キャピタルの主張によると、SIGのメリットは、事前の案件形成や複数年度の予算コミットメントなどに必要な政府側の手間が省けてシンプルな形でプロジェクトに資金を提供でき、かつ失敗リスクを民間投資家に転嫁できる点にあるとのことです。
さて、皆さん、このアイディアにどのような印象を持たれるでしょうか。私は、ここまで複雑になると、正直よく分からないという感想を持ちます。私の「常識」では、むしろ政府が基金を設置して事業実施団体の信用保証を行い、事業実施団体が民間投資機関から資金を調達してプロジェクトを行い,失敗すれば政府がその失敗分を保険として民間投資機関に支払う、と言う方が自然だと思うのですが。。。
歯切れの悪い記事で恐縮ですが、とりあえず、米国で新たに登場したコンセプトについての情報共有ということでご理解下さい。たぶん、具体的なプロジェクトが発表されれば、もう少し具体的なイメージがつかめるかと思います。SIGのコンセプトの詳細は以下をご覧下さい。