米国でユニークなアーチスト支援を展開するクリエイティブ・キャピタルが、過去15年間の活動のインパクト評価報告を発表しました。アーチスト支援の領域でユニークなモデルを開発してきたクリエイティブ・キャピタルがもたらした成果を一望できます。
クリエイティブ・キャピタルのアーチスト支援のポイントは、個人アーチストに限定し、かつインパクトのある革新的なプロジェクトにターゲットを絞って支援してきた点にあります。通常のアート支援が、団体支援に重点を置き、個人に提供するフェローシップもある程度の実績がある芸術家を対象にする場合が多いのと対照的です。
クリエイティブ・キャピタルの支援は、5万ドルの渡しきりプロジェクト支援と、4万5千ドル相当のキャリア・ディベロップメント支援からなります。単にプロジェクトへの資金を提供するだけでなく、このプロジェクトを通じてどのように自身のキャリア開発を行うかをきめ細かくサポートする点に特色があります。
このキャリア・ディベロップメントのコースがユニークです。アーチストを対象に、戦略計画、ファンド・レイジング、プロモーションの基礎を教え、さらにインターネットの活用、作品のドキュメンテーション、交渉やスピーチなどのコミュニケーション・スキルの向上、さらにブランディングやコミュニティ・リレーションズなどのワークショップを通じて、アーチストが、真に自立した存在になることを目指します。いわば、芸術起業家になるためのベンチャー・フィランソロピー的支援とも言えます。
評価報告は、過去の支援対象者に対するインタビューとアンケートからなっています。これだけの支援だから、成果が出るのは当然で、79%が収入の向上を回答してます。平均の増加額はなんと25万7000ドル。これは圧倒的な数字ですね。
興味深いのは、プログラムで最も有効だと思われるものとして、アーチスト同士のコミュニティ・ビルディング・プログラムがトップにあげられている点です。クリエイティブ・キャピタルは、先輩アーチストがノウハウを伝えたり、一対一のメンターシップを行う機会を提供します。さらにリトリートでより深い関係を築き、コラボなどの機会を作ることが出来た点も高く評価されていました。
アーチスト支援においても、やはりピア・サポート・ネットワークの重要さが浮き彫りになったようです。クリエイティブ・キャピタルのモデルは、芸術支援を考える際に様々な示唆を与えてくれます。
http://blog.creative-capital.org/…/creative-capital-artist…/