英国でソーシャル・ビジネス専門のインデックスSE100を運営しているNatWest銀行が、新たにソーシャル・ビジネス・クラブを立ち上げました。これにより、NatWest銀行は、ソーシャル・ビジネス支援を一層強化する予定とのこと。金融機関によるソーシャル・ビジネス支援のモデルケースとして注目されます。
SE100インデックスは、ソーシャル・ビジネス自身による登録制のインデックスで、基本情報にインパクト情報を加えてスコア化されています。ランキングは公開され、セクター、地域、規模、設立年数などでソートすることも出来ます。SE100インデックスを通じて、ソーシャル・ビジネスは、セクターや地域内における自己のポジションを把握することが出来、またランキングの上昇を通じて投資家にアピールすることも出来ます。
NatWest銀行は、このインデックスに基づいて、優良なソーシャル・ビジネスにSE100アワードを授与するなどの支援を行ってきました。これを踏まえて立ち上げたのが、今回のソーシャル・ビジネス・クラブです。
クラブに加盟すると、SE100が英国各地で開催するソーシャル・ビジネス向けのセミナーや講演会に無料で参加でき、またオンラインでの専門家アドバイスを受けることが出来ます。さらに、NatWest銀行が提供するソーシャル&コミュニティ・キャピタルのローン金利の優遇やローン申請の事前サポートなども受けることが出来るようです。ビジネス・サポートとローン優遇の組み合わせは、資金と専門性が不足するソーシャル・ビジネスにとっては魅力的だと思われます。
今回のNatWest銀行の取り組みは、ソーシャル・ビジネス支援として興味深いだけでなく、地方銀行の事業戦略としても注目されます。成長率が低下し、資金がだぶつく中で、金融機関は優良な投資先の確保が求められます。インデックスを通じて情報を収集し、クラブを通じて優良なソーシャル・ビジネスを囲い込むことが出来れば、NatWest銀行にとっては、優良な投資先をリサーチコストを最低限に抑えて確保できることを意味します。既に、NatWest銀行は、英国社会証券取引(Social Stock Exchange)とも提携を深めていますが、今回のビジネス・モデルをどこまで発展させていくかも要注目です。