欧州委員会が、クラウド・ファンディング市場の現状に関するレポートを発表しました。これによると、2015年度のクラウド・ファンディング市場の規模は42億ユーロ。これは、2014年度の16億ユーロに比べて、2.5倍以上の成長率で、クラウド・ファンディング市場の急成長ぶりが伺えます。このうち、寄付・購買型はわずか1億ユーロですから、そのほとんどが投資型(エクイティ、ボンド、ローン、シェア)だということになります。
欧州委員会は、クラウド・ファンディングを、ベンチャーのスタートアップや中小企業の有力な調達手段と見なし、成長を促進していく意向です。報告書は、このために引き続き市場をモニターすると共に、将来的には各国の規制を共通化する方向も視野に入れるとのこと。これが実現すれば、現在、国内に限定されているクラウド・ファンディングが欧州域内に拡大するため、資金調達の可能性が大きく広がることになります。
クラウド・ファンディングは、ソーシャル・ベンチャーや社会的企業にとっても重要な資金調達プラットフォームです。従来、ソーシャル・セクターは主に寄付型や購買型のプラットフォームを活用してきました。しかし、近年は、たとえば英国のCrowdfunder.co.ukのように、寄付、エクイティ、ローン、シェアなどを通じて複合的に資金調達できるプラットフォームも登場しています。今後、ソーシャル・セクターでも、投資型クラウド・ファンディング・プラットフォームが、資金調達の重要な手段になることが期待されます。成功すれば、ソーシャル・セクターの資金調達の規模が大きく拡大することでしょう。
欧州委員会の報告書は以下のサイトからご覧になれます。