先日、経済産業研究所の「サードセクター」研究会で、「社会的インパクト投資の最新動向」というテーマで発表させていただきました。プレゼン資料をブログの方にアップしましたのでご関心がある方はご覧下さい。なお、研究会では、もっぱらサードセクターにおける法人格の問題、特に社会的企業をどう設計するかに議論が集中しました。
私の方からは、英国のCICやBenCom、米国L3CやBenefit Corporationの例を挙げながら、(1)サードセクターの基本は非営利団体や協同組合である、(2)これらの団体が持っている非営利制約を乗り越えるためにハイブリッド団体を設計する際にもアセットロックやミッションロックを法的に制度化した団体が望ましい、(3)このため、設計の基礎となるのは有限責任会社や合同会社、協同組合などであり、株式会社ではありえない、(4)米国B-Corpのように、株式会社を前提とした認証システムも存在するが、国際的には少数派(全世界でわずか2~3000団体)で参考とすべきではない、という点をお伝えしました。
この情報ボックスで取り上げている「社会的インパクト投資」に限って言うと、投資先の多くは株式会社になりますが、より大きく「ソーシャル・ファイナンス」という観点から見ると、資金提供先の大半は非営利やアセットロックのかかったハイブリッド団体です。現在の日本では、「社会的インパクト投資」が急速に注目を集めつつあり、「株式会社に代表される営利企業が社会問題のすべてを解決できる」という極端な意見も聞かれますが、これは国際的な動向を無視した危険な議論だというのが私の印象です。
どんなに優秀で良心的な企業であっても、それが営利企業である限り、市場から排斥された弱者を救うことも出来ないし、また市場が与えるプレッシャーに逆らって社会性を追求することは出来ません。この点、改めて強調させていただければと思います。
http://japan-social-innovation-forum.net/…/1c51e3192488c961…