休眠「ポイント」活用を通じたファンドレイジングの新たな形

日本でも、銀行口座に眠る「休眠預金」の活用が議論されています。数百億円規模の資金をソーシャル・セクターが利用できるようになるため注目が集まっています。しかし、考えてみると、眠っている資産は他にもあります。例えば、クレジットカードのポイント。毎年、膨大なポイントが使用されずに無効となっています。これを何とか活用できないでしょうか。

チャリティ・チャージという米国の団体がこれに目をつけて新たなサービスを始めました。チャリティ・チャージ・ワールド・マスター・カードというものです。ユーザーは、ポイントやマイルを貯める代わりに予め非営利団体を指定すれば、自動的に支払金額の1%をキャッシュ・バック出来るという仕組みです。

他のクレジット・カードもポイントの寄付サービスを導入していますが、チャリティ・チャージの特徴は、(1)手数料は寄付者も寄付を受け取るチャリティも無料、(2)ポイントを寄付する手続きなしに自動的に寄付を支払う、点にあります。経費は、クレジットカード会社からの手数料収入で賄うとのこと。

米国では、毎年160億ドル相当のクレジット・カードのポイントが期限切れになっていると言うことです。もしも、この休眠「ポイント」すべてがソーシャル・セクターに流れ込む仕組みが出来れば、膨大な資金調達が可能になります。これは画期的です。

さらに興味深い点は、ポイントやマイレージによる寄付の場合、寄付免税の対象にはなりませんが、キャッシュバックによる寄付の場合、免税の対象になること。この点も、魅力的です。

しかし、最大の魅力は、チャリティ・チャージがPublic-benefit corporationとして、寄付者や寄付を受け取るチャリティからの手数料収入ではなく、カード会社からの手数料収入に依存する事業モデルを打ち出したことではないでしょうか。営利型クラウドファンディングの場合、寄付を受け取るチャリティが手数料をプラットフォーム提供会社に支払うシステムが一般的です。その点で、これは営利を目的とした「ビジネス」です。チャリティ・チャージの試みは、そのような「ビジネス」化を周到に回避しようとするものとして興味深いと思われます。

https://www.charitycharge.com

Share MeFacebooktwitterlinkedinmailby feather