カナダ・オンタリオ州は、近年、社会的企業育成に積極的に取り組んでいます。2013年の戦略では、世界初の地域コミュニティ型社会的証券取引メカニズムSVXを立ち上げたり、社会的企業デモンストレーション基金を通じた成長支援などに取り組んだりとユニークな試みを打ち出しました。また、社会的インパクト債の導入検討も進められています。
今回、あらたに発表された5カ年の新戦略では、今までの成果を踏まえて、以下のような取り組みを行うとのことです。
1.社会的企業の経営基盤強化
⇒基金を通じた支援の継続、社会的インパクト・バウチャーの支給を通じた人材育成や研修の支援等
2.社会的企業と資本の結合を通じた成長・スケールアップ
⇒SVXを通じた投資家とのマッチング、ソーシャル・ベンチャー投資ファンドの設立、社会的企業向け調達促進行動計画の策定等
3.社会的企業とソーシャル・ファイナンスの社会的価値評価
⇒インパクト評価タスクフォースの設立、社会的インパクト債のパイロット事業導入等
オンタリオ州の取り組みは、地方自治体が社会的企業を促進するための政策パッケージのモデルとして使えそうです。社会的企業は、コミュニティをベースに活動しており、提供する財やサービスも、コミュニティの公益増進が中心的な目的です。その意味で、中央政府以上に、地方自治体レベルでの発展戦略が求められるでしょう。
特に、社会的インパクト債や社会的証券取引など、ソーシャル・ファイナンスの分野では、コミュニティ・レベルの枠組みの方が、資金循環という点からも社会的価値の見える化という点からもより適合的だと思われます。
現在、日本でも様々な自治体が社会的企業の育成に取り組んでいます。このような自治体には、オンタリオ州の試みは様々な示唆を与えてくれると思います。
https://www.ontario.ca/…/ontarios-social-enterprise-strateg…