アート界におけるベンチャー・フィランソロピーを考える

少し前の記事ですが、インサイド・フィランソロピー誌がアート・バーゼルにおけるベンチャー・フィランソロピーに関するセッションを紹介しています。アートの世界にも拡大しつつあるベンチャー・フィランソロピーについて、ロックフェラー・フィランソロピー・アドバイザー理事長やクリエイティブ・キャピタル財団会長などが議論するという贅沢な企画だったようです。

ベンチャー・フィランソロピーというのは、グラントを出すだけでなく、ハンズオン支援も加えることで、支援先のキャパシティ・ビルディングやスケールアップを図ろうという手法です。従来は、社会福祉分野や社会的企業が中心でしたが、近年、アートの世界でも発展してきました。

具体的には、例えば、クリエイティブ・キャピタルによるアーチスト支援。テクノロジーを駆使して様々な作品を生み出すアーチストが開発したプログラムの著作権ビジネスを支援するなど、「芸術起業家」としてのアーチスト支援を行っています。また、クレスゲ財団などが支援している「アートプレイス」は、全米各地にコミュニティ再生の核となる「アートプレイス」の建設を支援することで、アーチスト支援とコミュニティ再生の双方を追求しています。

現在、この分野は、アートを活用した認知症患者の治療・介護や、犯罪者の社会復帰、PTSD患者の治療、アドボカシー、重症子ども患者のケアなど、様々な分野に展開しつつあります。

セッションは、このようなアート界におけるベンチャー・フィランソロピーの動きを取り上げた上で、更なる発展のために求められることとして、(1)インパクト評価手法の開発、(2)多様な社会的目的を持つアート活動の発展、(3)起業精神の重要性、(4)営利と非営利が共存するハイブリッド・スペースの必要性、などが挙げられたとのこと。

「アートのためのアート」を追求する人から見ると邪道なのかもしれませんが、ただ勧奨するだけでなく、参加し、活用し、さらにアートを通じて社会貢献を推進するという意味で、この動きには共感します。

http://www.insidephilanthropy.com/…/a-quick-dive-into-the-s…

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