17日(日)付けのニューヨークタイムズが、面白い記事を掲載していたので紹介しておきます。テキサス州ヒューストンの非営利団体「刑務所起業プログラム(Prison Entrepreneurship Program)」は、受刑中の囚人を対象に、起業のためのトレーニングを行うプログラム。ビジネスプランの作り方から、マーケティング、資金調達まで、現役のビジネスマンとMBA学生ボランティアが講師やチューターを務めて囚人たちをサポートします。囚人たちは、刑期終了後、トレーニングの成果を踏まえて起業に乗り出すというプログラム。
2004年から開始されたプログラムですが、既に700名以上がコースを修了。出所後の就職率は70%が1ヶ月後に、そして3ヶ月後には全員が就職。再犯率は、テキサス平均の25%を大きく下回る5%。106名が既に起業に成功したとのことです。
米国でも犯罪の問題は大きな課題です。犯罪者の増加に対応できずに刑務所はパンク状態ですし、また、刑務所内で犯罪者同士のネットワークが形成され、犯罪者の再生産が行われるという皮肉な結果が出ています。出所後に社会に適応できず、再犯で戻ってくる者も多く、社会的なコストはとても高いというのが現状です。今まで、社会復帰プログラムというと、単純労働のスキルを身につけさせることぐらいでしたが、単純労働では賃金の安い職にしかつけず、貧困から抜け出せないまま、また犯罪に走ってしまうということが繰り返されてきました。このプログラムは、このような構造的な問題を起業サポートを通じて解消しようと言うアメリカならではのユニークな試みとして注目されます。
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