社会的インパクト投資において、投資家は、投資リターンのみならず、投資がもたらす社会的インパクトを重視します。このような社会的インパクトを加味した投資リターンを測定する指標としては、REDFが開発したSROI(社会的投資収益率)がありますが、そこで中心となるのが、「成果」の定量化です。社会的インパクト投資が対象とする 社会領域は多様であり、そこには人の行動や意識の変化、生活の質の変化などの定性的なものが含まれます。これをどのように定量化すればよいでしょうか。
英国NPCがSROIネットワークと協力して実施した社会的投資成果のマッピング・プロジェクトは、成果の定量化のためのマトリックスを提供してくれていて参考になります。例えば、芸術文化スポーツ分野。この分野での目標として、 青少年や老人、障害者などのアクセス改善を設定したとします。そうすると、成果としては、対象層の参加者数の増加、対象層をターゲットにしたプログラムの増加、このようなプログラムに対するメディアの報道件数の増加、公共機関における関連プログラムに対する予算の増加・・・・と言う形で、成果指標を設定します。その上で、それぞれの指標について、どのような統計資料を使えば客観的に定量化できるが具体的に説明されています。これは便利で、おそらく、社会的インパクト投資のみならず、一般の非営利団体の成果測定にも使えそうです。
社会的インパクト投資が拡大していくためには、様々なインフラストラクチャーの整備が必要です。今回の成果指標マトリックスも、今後、さらに洗練を重ねていき、社会的インパクト投資の発展に寄与していくことが期待されます。
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