英国アーツ・カウンシルが、895,000ポンドの新助成プログラムを立ち上げました。このプログラムのユニークな点は、従来のようなアート・プロジェクトへの支援ではなく、文化芸術団体のキャパシティ・ビルディングと経営におけるイノベーションを支援しようとしている点。2013年から2016年の3年間で、(1)英国文化芸術団体の収入基盤強化、(2)観客層拡大、(3)文化・芸術を通じた社会的インパクト拡大等のプロジェクトを支援する予定です。
もう一つ、ユニークな点は、プログラムを運営するコンソーシアム。National Council for Voluntary Organizationが中心になり、New Philanthropy Capital、New Economics Foundation、Mission Models Moneyがコンソーシアムを組んでプログラムを運営します。それぞれ、アートに留まらず、英国のソーシャル・イノベーション推進の主要な担い手として、国際的に活動してきた団体です。これは、今までのアート・サポートは異なるユニークな視点を提供してくれそうです。
80年代に文化経済学が提唱されたとき、その出発点は「アートは市場原理に乗らないから公的支援が必要だ」という点にありました。その点は、今でも変わりません。ただ、変わったのは、公共財を提供する非営利セクターのマーケットが拡大し、そこでは、公的支援のみならず、寄附、現物支援、プロ・ボノ・サポート、さらに企業との協働などを通じた新たな資金調達方法が発展してきたことです。さらに、社会的インパクト投資や社会的インパクト債券、あるいは社会的証券取引所などの新たな資金調達方法も試みられています。アートを支える仕組みも、このような大きなコンテクストの中で再検討される必要があります。この意味で、今回の英国アーツ・カウンシルの試みは、先駆的な事例を提供してくれそうです。
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