欧州委員会が、「社会的経済と社会的企業:ソーシャル・ヨーロッパ・ガイド第4巻」を発表しました。欧州における社会的経済と社会的企業の現状を概観し、この促進に向けた展望をまとめた報告書です。
これによると、欧州では,着実に社会的企業が成長しつつあるようです。欧州の主要国で、雇用の5%から11%を社会的企業が占めています。スウェーデンは11%以上。社会的企業の類型は、協同組合が7%、相互会社が1%、残りは非営利団体、財団、その他の法人格を持った団体。協同組合が、かなりの割合を占めている点が注目されます。社会的企業数では、国別で、英国が87.6万団体でトップ。これにドイツ51.4万、スペイン20.1万、フランス19.2万、フィンランド13.4万がそれぞれ続きます。注目すべき点は、提供する財やサービスの種類が多様化している点。従来のような農畜産物や社会福祉、工業製品に加えて、例えば、カー・シェアリングのようなレンタカーサービスなどの革新的な取り組みが増えてきています。
今後の課題としては、社会的な認知がまだ低いこと、専門化したトレーニングと教育システムがまだ整備されていないこと、支援するネットワークやインフラが整備されていないこと、資金へのアクセス機会が低いこと、欧州域内で統一した規制の枠組みがないことなどが挙げられています。これは日本でも状況は同じですね。
他方、日本と異なる点は、欧州委員会が、社会的経済と社会的企業促進に向けた取り組みを加速している点。2011年に社会的ビジネス・イニシャチブを立ち上げ、今年2013年には「成長と団結のための社会的投資」というコミュニケを発表し、社会的投資の促進に向けた政策パッケージを開始するようです。
日本では、社会的企業に関する議論が経産省主導でなされているため、どうしても「中小企業支援」の色彩が濃くなってしまい、非営利団体や協同組合への視点が希薄になりがちです。これに対し、欧州は統合的な促進政策を展開していくようです。欧州の今後の展開が注目されます。報告書は以下のサイトから無料でダウンロードできます。
http://ec.europa.eu/social/main.jsp?catId=738&langId=en&pubId=7523&type=2&furtherPubs=yes
Share Meby