ウォーレン・バフェットが全資産の85%を寄附し、ゲーツ財団がさらに巨大化することに。

ニューヨークタイムズの報道によると、ウォーレン・バフェットは、総額440億ドルの資産のうち、85%に当たる374億ドルをゲーツ財団他の財団に寄附することを計画しているようです。現在、ゲーツ財団の総資産は約300億ドルですから、この寄附が実現すれば、ゲーツ財団は2倍の規模に拡大することになります。米国第二位のフォード財団の資産が116億ドルですから、超巨大財団が誕生することになります。今回の寄附は、もちろん、歴史上、最大規模の寄附になります。

さて、これをどのように評価すべきでしょうか。ゲーツ財団の今までの活動を見る限り、また、フィランソロピーセクターの拡大という観点から見る限り、これはもちろん歓迎すべきことです。バフェットとゲーツが進めているギビング・プレッジが、今回の寄附でさらに促進されることも期待したいと思います。

他方、グラント・メイキング業界に長年、身を置いてきた私としては、若干、今回の寄附には留保をつけておきたいと思います。ゲーツ財団というのは、フォード財団やロックフェラー財団など、20世紀に誕生した専門型の助成財団とは異質な財団です。そのガバナンスは、ゲーツ家とバフェット氏のみにより決定されており、他の助成財団のような独立した理事会による運営がなされていません。また、資産もゲーツの死後、一定期間の後にすべて使い切るように指定されています。ゲーツ財団は、超巨大な「家族財団」なのです。グローバルな公益を担う資金の半分以上が、ごく少数の人間に独占されているという事態は、たとえ、ゲーツやバフェットがどれほど善意で行動していたとしても、健全ではありません。フィランソロピーにもまた、民主的な意志決定やガバナンスが必要なのです。

今回の寄附が、後世の歴史家によってどのように評価されることになるのか、とりあえずは今後のゲーツ財団の活動を見守っていくことにしたいと思います。

http://www.nytimes.com/2006/06/26/business/26buffett.html?_r=0

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