英国政府が社会的インパクト市場の現状報告を発表

以前にご紹介したとおり、英国政府は6月のG8サミット開催に合わせて社会的インパクト投資に関するフォーラムを開催しました。フォーラム開催の際に配布された報告書が、英国政府のウェブサイトに掲載されたのでお知らせします。

内容は、現在約360億ドル規模の社会的インパクト投資市場が、2020年までには4000億ドルから1兆ドル市場にまで成長する見込みがあることを前提に、いかにしてインパクト投資市場を国際社会において拡大していくかを論じたもので、短いですが、読み応えがあります。

報告書は、社会的インパクト投資の現状と、現在直面している課題、そして成長のための方策をまとめています。報告書のユニークな点は、論者によってそれぞれ異なる社会的インパクト投資の考え方を包括的に捉えようとしている点。報告書は、社会的インパクト投資を、「BoPビジネス向け投資」「エネルギー効率性を高めグリーン・テクノロジーを促進するための投資」「公共サービスを維持するための新たなアプローチ」の3つの側面から論じています。このような形で包括的に提示されると、社会的インパクト投資が広い射程を持ったものであることが実感できます。

さらに、報告書は、社会的インパクト投資のためのエコ・システム確立を進めるためには、フィランソロピー投資家、エンジェル投資家、プロフェッショナル投資家、機関投資家、企業、金融産業全体、そして政府がそれぞれの立場から促進に向けて取り組む必要があるとして、それぞれの期待される役割を論じています。

報告書作成者はインパクト・エコノミーという団体。先進諸国で財政危機が進み、福祉社会を維持するためのコストと政府財政余地とのギャップをどう埋めるかという問題は深刻になりつつあり、このギャップを埋める一つの解決法としてインパクト投資を位置づけようという視点も評価できました。報告書は、以下のサイトから入手できます。

https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/212511/Status_of_the_Social_Impact_Investing_Market_-_A_Primer.pdf

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