先日、スタンフォード・ソーシャル・イノベーション・レビューの欧州ベンチャー・フィランソロピーの記事を紹介しました。この関連で、今年3月に欧州ベンチャー・フィランソロピー協会(EVA)が公表した「欧州のベンチャー・フィランソロピーと社会的投資2011/2012」という報告書も紹介しておきます。
この調査は、EVA加盟団体を中心に102団体に調査票を郵送し、61団体から得た回答を分析したものです。調査のサイズは大きくありませんが、現在の欧州におけるベンチャー・フィランソロピーをミクロ的に分析する上では有益です。
調査によると、2011年度の支出総額は2億7800万ユーロ。ベンチャー・フィランソロピー団体の67%は非営利団体として活動しており、56%は基本財産を持っていません。彼らは、基本的に資金仲介団体として一般や財団からの寄附・投資を受けて活動していることが読み取れます。年間予算の平均は250万ユーロを下回っています。2000万ユーロを超える予算を持っているのは全体のわずか8%です。
ベンチャー・フィランソロピー団体と社会的インパクト投資団体の基本的な収入源は、ベンチャー資本やヘッジファンドが17%、個人投資家が16%、政府補助金が15%、企業が14%、基本財産運用収入が11%、財団が6%、機関投資家が1%、その他21%となっています。やはり個人投資家とベンチャー資本、政府補助金の重要性が読み取れます。さらに対象地域で見ると、西欧61%、アフリカ24%、アジア9%、北米2%、南米2%、東欧1%となっています。国内向けが過半数を占めますが、開発途上地域向けも約3分の1を占めており、開発援助にも活用されていることが読み取れます。
さて、このデータは日本の今後のベンチャー・フィランソロピーの発展にとってどのような意味を持つでしょうか。制度の相違をきちんと踏まえなければなりませんが、最低限言えることは、投資対象となりうる社会的企業のデータを集め、これに基づいてベンチャー資本や個人投資家、企業などから資金を集めることが出来る資金仲介団体としての機能を強化することかと思います。これ以外にも、この報告書は、様々な示唆を与えてくれています。
http://evpa.eu.com/knowledge-centre/what-is-vp/industry-data/
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