2007年、ドリス・デューク財団は、芸術支援のための新たなイニシャチブを立ち上げます。伝統的な芸術支援プログラムが、アーチストに対する個人支援や芸術文化団体のプロジェクト支援だったのに対し、より芸術文化団体のキャパシティ・ビルディング支援に重点を置いた支援プログラムを開発しようというこのイニシャチブは、Leading for the Futureと命名され、NPOへの資金提供を通じたキャパシティ・ビルディング・サポート分野では最も専門性の高いNonprofit Finance Fund(NFF)に運営が任されます。
プログラムは、全米トップクラスの10の芸術文化団体を選び、4〜5年間で100万ドルを上限とした大規模支援を行うことにより、中長期的な財政基盤を確立し、変革的な(Transformative )組織移行の実現を目指しました。このイニシャチブが終了するのを機に、NFFは評価報告書「Change Capital in Action: Lessons from Leading Arts Organization」を発表しています。
報告書は、プログラムの概要をたどった上で、このようなプログラムが成功するための前提条件を「教訓」として以下の通り整理しています。
・組織の財政状況が健全で理事会もスタッフも資金形態について知識があること。
・指導者がぶれず、スタッフが協力的で、状況を的確に把握し、客観的に自身を評価できること。
・芸術的な発展と資本の変化の関連性が全員にとって明確であること
・組織が、自分たちの仕事に対して企業家的な視点を持ち、想定されていたリスクを管理できる能力を持っていること。単なる成長ではなく、次のステージへの発展について考えていること。
・変革のための資金は、組織とその変革計画に応じたサイズであること
・組織が反復性を期待できる収入源を持っていること
・組織が長期的な財政計画について真剣で、進捗状況を計画とベンチマークに沿ってきちんとモニターし、データ分析に基づいて計画の変更が出来ること
・変革のための資金が提供されている間に収入を生み出す事業が形になるようなタイムフレームであること
・特に、新たなテクノロジーの導入を計画している場合には、不可避的に起きる反動をうまく吸収できるよう、十分な資本を用意しておくこと。
これらの「教訓」はもちろん芸術文化団体以外の非営利団体にも適用可能だと思います。日本でも、芸術文化団体に対する公的支援はどんどん減っています。その中で、彼らが生き残るためには、このようなキャパシティ・ビルディング・サポートが真剣に検討される必要があります。この報告書は、日本における芸術文化団体支援の今後を考える上でも非常に示唆に富む内容だと思いました。
http://nonprofitfinancefund.org/files/images/initiatives/changecapital_in_action_print_friendly.pdf
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