ニューヨーク・タイムズの記事によると、9月23日(月)から、小規模のスタートアップ企業がソーシャル・メディアやクラウド・ファンディングサイトを通じて公開で資金調達を行うことが可能になったとのことです。これは、昨年、制定された「ビジネス・スタートアップ活性化法」が施行されたためです。
従来は、公開での資金調達が証券取引法の関係で規制されていましたが、小規模スタートアップ起業に限り、かつ一定の要件を満たした投資家からの資金調達のみが認められることになりました。これにより、米国でもクラウド・ファンディングを通じた小規模スタートアップ起業家の資金調達が活発化することが期待されます。
但し、この記事は、クラウド・ファンディングの危険性にも警鐘を鳴らしています。そもそも、上記のような規制が成立したのは、1930年代、詐欺まがいの投資勧誘から素人投資家を保護するためでした。この問題は、もちろん、クラウド・ファンディングにもあてはまります。むしろ、インターネットを通じた資金調達であるため、詐欺の危険性はより一層強まります。また、仮に起業家が真剣にビジネスに取り組んだとしても、厳しい経済環境の中、どこまで事業を軌道に乗せることが出来るのかと言う問題もあります。逆に、経営実績のない起業家が、クラウド・ファンディングを通じて仮に大量の資金を集めてしまった時に、その資金をきちんと運用できるのかという問題もあり得ます。
米国では、既にKickstarterやIndiegogoなどのクラウド・ファンディング・プラットフォームが活動していますが、基本的にこれらは投資ではなく寄附です。今後は、投資という形でさらに大量の資金が流れ込むことになります。それがどのような副作用を生み出すのか、これからも注意深くウォッチしていく必要がありそうです。