現代は、アカウンタビリティの時代です。行政、企業、NPOなど総てのセクターにおいて、何らかの形で情報を公開して活動の透明性を高め、主要なステイクホルダーに対して説明責任を果たすことが求められます。それは、ある場合には組織にとって都合の悪いことを外部に知らせることにもなりますが、長期的に見れば、そのような説明責任を果たす組織が外部からの信頼性を高め、幅広いネットワークの中で確固たるポジションを築いて、安定し、成長していくことが出来るのです。
助成財団もまた例外ではありません。このような観点から、グラント・クラフトが、「助成財団の透明性」についての報告書とインフォグラフィックスを公開しました。審査基準、採用案件、主要な報告書などを公表するだけでなく、例えば、潜在的名グランティーが使いやすい情報提供の仕組みを整え、失敗した事例を積極的に公表することで助成財団セクター全体の「学び」に貢献し、スタッフのブログやフェイスブックを通じて主なステイクホルダーとのコミュニケーションを強化する、など、様々な提言を行っています。
助成財団は、専門的な組織であることが求められます。90年代にはプログラム・オフィサー制度の導入が日本でも真剣に議論されました。しかし、米国では、さらにプログラム・オフィサー制度を超えて、よりネットワーク志向型の組織・人作りが模索されています。透明性向上の議論も、その文脈で理解する必要があります。このような努力を通じて、助成財団が主要なステイクホルダーと良好なパートナーシップ関係を構築できて初めて、インパクトのある事業を展開することが出来るのです。ぜひ、日本の助成財団の皆様にもこのコンセプトを共有していただけたらと思います。