マッカーサー財団が今年の「創造的で効果的なNPO大賞」を発表

マッカーサー財団はシカゴに本拠を持つ米国有数の大型財団の一つです。安全保障や科学技術など多様な分野に支援をしていますが、この財団の看板プログラムは通称「マッカーサー天才フェロー」とも呼ばれる個人向けのフェローシップ。分野や活動を問わず、まさに「天才」と呼ばれる才能を持った人達を選定し、5年で62万5千ドル(日本円約6,250万円)を何の条件もなしに与えると言うすごいプログラムです。このプログラムが発表される際には毎年、米国主要紙が「今年の天才フェロー受賞者は。。。」と報道するほど有名です。

この「天才フェロー」のNPO版とも言えるのが、「創造的で効果的なNPO大賞」です。クリエイティブなアイディアでインパクトのある取り組みを行っているNPOを選定し、予算規模に応じて最大100万ドル(日本円約1億円)を提供するというプログラム。NPOは、この資金を元に、活動のスケールアップやキャパシティ・ビルディングを行うことが期待されます。

今年の受賞団体は、以下の7団体です。

・キャンペーン・リーガル・センター(米国、ワシントンDC:75万ドル)
・全米住宅供給信託(米国、ワシントンDC:100万ドル)
・ネイチャー・サーブ(米国、ヴァージニア州:100万ドル)
・プロ・バブリカ(米国、ニューヨーク:100万ドル)
・シチズン・ラボ(カナダ、トロント:100万ドル)
・シカゴ大学犯罪ラボ(米国、シカゴ:100万ドル)
・女性の権利の保護・向上オルターナティブ(ナイジェリア:75万ドル)

米国の政界に流れ込む巨額の政治寄付がもたらす腐敗の防止、米国における適正価格による住居提供(Affordable Housing)の促進、環境保護のための効果的な科学技術の開発、高い調査能力を持ったジャーナリズムの発展、サイバースペースにおける人権侵害の防止、都市の犯罪・暴力の縮小、そしてナイジェリアにおける女性の権利の保護・促進と、それぞれ扱っている領域は多様ですが、受賞団体は総て、従来とは異なる発想で問題の解決に取り組むソーシャル・イノベーションの担い手であるという点では共通しています。受賞団体は、賞金を利用してさらに活動を発展させていくでしょう。

一見すると、ばらまき型の典型のようにも見えるこのプログラム。しかし、審査段階で革新性、成長可能性、社会的インパクト、資金ニーズなどを厳しくチェックしていることと、賞金が巨額であることで、まさにNPOのスケールアップに必要な成長資金(Growth Capital)を提供する良質のプログラムだと言えます。

日本のNPOセクターも、経営が高度化し、マーケティング、ファンド・レイジング、企業や行政との連携能力も高まりつつあります。日本のNPOが次のステップに進むために必要なものの一つが、この成長資金(Growth Capital)だと私は思っています。その意味からも、ぜひ研究したいプログラムですね。

https://www.macfound.org/press/press-releases/7-nonprofits-recognized-exceptional-creativity-and-effectiveness-awarded-1-million-each/

Share MeFacebooktwitterlinkedinmailby feather

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。